るんるん書評

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名言の宝庫『星の王子さま』 ー大人への教訓ー

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どんな話?

サン=テグジュペリの『星の王子さま』を読みました。

飛行士の操縦士である「ぼく」がサハラ砂漠の真ん中に不時着しました。飲み水も1週間分しかない状況で、飛行機の修理をしなくてはいけませんでした。

「ぼく」は、よその星から来た1人の王子に出会います。王子の星はとても小さいが、3つの火山や1輪のバラがありました。

そのバラは胸を打たれるような美しさで、王子はそのバラを丹念に世話していました。しかし、バラが王子にあれこれ口うるさく言うので、王子はうんざりして星を出てしまいます。

王子は地球に来るまでに6つの小惑星を訪れ、それぞれの小惑星に住む人に出会いました。
1つめは、自分の権威を守ることに必死な王
2つめは、賞賛されないと気が済まない大物気取りの男
3つめは、を飲むことを自ら恥じてはいるが、それを忘れるために、また酒を飲む男
4つめは、夜空の星の所有権を主張して、そのを数えるのに忙しい実業家
5つめは、星が1分に1回まわるたびにガス灯の点火や消火をする点灯人
6つめは、に夢中になるあまり、自分で探検もしたことがない地理学者

この6つめの星の地理学者に勧められ、王子は地球を訪れます。

王子は高い山に登ったり、五千ものバラの庭園を見ました。自分の星の火山やバラを特別なものだと思っていた王子は、それらの火山やバラはありふれたものだと思って、泣いてしまいます。

次に王子はキツネに出会いました。王子はキツネに遊ぼうと言うが、キツネはを結んでいないから遊べないと言います。キツネは絆を結ぶことで、王子にとって、そのキツネは他の何十万のキツネとは違う、世界で1人だけのなくてはならない存在になる、と教えます。そこで王子は自分が愛し、育てていたバラは自分にとってやはり特別なバラだと気づきました。

キツネとの別れ際に王子は「大切なものは、目に見えない」という秘密をキツネから教わります。

「ぼく」は飛行機の修理をしながら、こんな話を王子から聞きます。

ついに飛行機が直り、「ぼく」が王子にそのことを伝えに行くと、王子はヘビと話をしていました。王子はヘビに噛まれることで星に帰ることを決心します。

別れを惜しむ「ぼく」に王子は「きみが星空を見上げると、そのどれかひとつにぼくが住んでいるから、そのどれかひとつでぼくが笑っているから、きみには星という星が、ぜんぶ笑ってるみたいになるっていうこと。きみには、笑う星々をあげるんだ!」と語ります。

大切なことを忘れてしまいがちな大人への風刺

大人が陥りやすいもの

王子が訪れた星々に住む人たちは、それぞれ大人が溺れてしまいやすいものを、表していると思います。

王の星は権力、大物気取りの星は名声、酒飲みの星は快楽、実業家の星は財力、点灯人の星は労働、地理学者の星は学問です。

これらはどれも大事なものですが、そのことばかりに気を取られると良くないというメッセージを含んでいるのではないでしょうか。

まとめ

ここで紹介した文章以外にも、時間数字に追われるあまり、目に見えない大切なものに気づかなくなってしまっている大人たちにいくつかの名言・格言が綴られています。

児童書として人気のある『星の王子さま』ですが、立ち止まって物事を考え直す機会がなかなかない大人にとってこそ、考えを改めさせてくれる、そんな本ではないでしょうか。


https://www.amazon.co.jp/星の王子さま-新潮文庫-サン-テグジュペリ/dp/4102122044